第66章 別々の道
一際どんっと強く背中を押され、おっとっとと前のめりに歩を進めれば。
カカシ「!」
あらやだ。怒気の溢れる素敵な狩人とこんにちは。
カカシ「はははっ、仕事なくなりました」
シカク「ついてこい。いいな?」
こんなイエスしか、残されていない選択肢もそうそうないだろう。
カカシ「はい」
部屋を出る前に、ちらりと後ろを振り返ってみたが、そこにはシッシと手を払うドS二人と、ご愁傷様ですと手を合わせる後輩しかいなかった。
空き部屋へと連れ込まれたウサギは、せめて、狩人が優しい調理をしてくれる事を願うばかりだ。
シカク「カカシ」
カカシ「はいっ!」
ついに来た。
ビッと背筋を伸ばせば、シカクは眉を寄せながら、重たい口を開いた。
シカク「てめぇ、やってくれたな」
カカシ「大変申し訳ありませんでした」
何のことかはわからないが、シカクが怒るということは、きっと十中八九自分が悪い。
サッと美しいお辞儀と共に言えば、シカクは大きなため息をついた。
シカク「前に言ってた、サポートどうこうを失敗したって相手はシカマルじゃなくて、キリの話か」
カカシ「あ……はい」
そうか。その時の話かと、頭の中でポンっと手を合わせれば、シカクはより一層眉間のシワを濃くさせた。
シカク「馬鹿野郎っ! やらかしたなら何ですぐにフォローしねぇんだ」
カカシ「!?」
あの日、悩めるキリの相談を聞いて、それはもう派手に恋のサポートに失敗したカカシは、翌日すぐにシカクに相談にいった。
その時、確かにシカクは、子供の色恋に大人が首を突っ込むと、ろくなことがないからそれ以上は止めておけと。
そう言ったはずだ。
カカシ「し、師匠あの時は放っておけと……」
びくびくと震えるウサギは頑張って反論を試みるが、狩人はそんなウサギに語尾を強める。
シカク「ありゃあシカマルが相手ならの話だろうが」
そう言って、シカクはさらに続ける。