第15章 知らないこと
いの「甘いものとか好きじゃないの?怪我の時は、美味しいものの差し入れ嬉しいわよ」
確かに、以前チョウジが怪我をした時は、大量の食べ物を差し入れた。チョウジは病院食ではとても足りなかったのだと、泣いて喜んでいたが。
けれど、キリの好きな食べ物どころか、そもそもキリが何かを食べているところすら想像出来ない。
アカデミーでも、任務の時でも、キリが人前で食事をしている様を見たことはない。
シカ「わかんねー」
いの「ふーん、じゃあ花にしなさいよ。花を貰って嬉しくない女の子なんていないんだから。好きな色とかわからないの?」
シカ「わかんねぇ」
「そうじゃなくても、キリがよく身に付けている物の色とか」そう聞かれて考えてみても、やはり結果は先ほどと同じだった。
シカ「……わかんね」
いの「はー、じゃあわたしが選んであげるから、お見舞い行く前にお店寄りなさいよ」
「行ったらちゃんと好きなもの聞いてくるのよ」と、やれやれまったくと呆れたような雰囲気を出してから、いのは何かを考え込むそぶりを見せた。
しんと、急に黙り込んだいのを訝しげに見ていると、顔を上げたいのと視線が混じる。
いの「ねぇ、シカマル。あんたもしかしてキリのこと好きなんじゃないの?」