第15章 知らないこと
いの「……なるほどねー」
ちらりといのが隣を見れば、うつむき気味でかなり気落ちしている様子のシカマルがいる。
相当まいっているのだろう。やる気がないのはいつもの事だが、こうして思い詰めた姿を見せるのは珍しい。
いの「ほらっ、あんたが落ち込んでても仕方ないでしょー?そんなに怪我がひどいなら、キリも大変だろうし。あんたがしっかり看病してあげなさいよ!」
ばしっと、いつもよりも丸く見えるシカマルの背中を叩けば、シカマルは「いてぇ」と顔をしかめる。
ひりひりと痛い背中をさすっていれば、「ほら、元気出しなさいよ」と視線を向けてくるいの。そんな幼馴染を見て、シカマルは少しだけ気持ちが軽くなった気がした。
シカ「ああ、さんきゅ。いの」
そう言えば、いのも微笑んで覗き込んでいた顔を上げ、前を向いて歩く。
いの「またすぐお見舞い行くんでしょ?」
シカ「おう」
いの「お見舞い、何持ってったの?」
シカ「……は?」
いの「ちょっと!あんたまさか女の子のお見舞いに手ぶらで行くつもり?」
「信じられない」と眉をひそめながら言われるが、今日はとにかくキリに会う事しか考えていなくて。朝から急いでいたこともあり、見舞いの品なんて全く頭になかった。
しかし言われてみれば、入院している者を見舞うのならば手土産のひとつはあった方がいいのかもしれない。
そうは思ったが、キリに何を持っていくのが良しとなるのか、考えは浮かばない。
シカ「……あいつが何が好きとか全くわかんねー」