第63章 身を置く場所
雷影(間に心境の変化があったか。早くに動くべきだったな)
その眼が、以前とはまるで違う。
迷いに溢れ、隙があったあの頃に、強引に引き抜いておくべきだった。
キリ「今回、そのお話を引き受ける事は出来ませんでしたが。……本当にありがとうございます」
雷影(……)
キリ「今回も……以前も、雲隠れの里に来いと仰って頂けた事、心から嬉しく思います」
深々と頭を下げて、話し続けるキリを雷影は何も言わずに聞き入れる。
キリ「私は決して良い人間ではありません。……そんな私に、居場所を与えようとしてくれたこと、深く感謝致します。そして、身に余るようなこのお誘いを受け入れられぬ事、ここにお詫び致します」
嬉しかった。
嬉しかったのだ。
樹の里での事情を知らないとはいえ、うちに来いと手を伸ばしてくれたことが。
木ノ葉隠れに対しての、侮蔑的な発言は気分が良くないが、それでも。
「気が変われば来い」と、最後にそれだけ言われて、キリは雷影と別れた。
その後は、何の話だったのかと遠慮無しに、ぐいぐいと聞いてくるナルトとサクラ。それに自然に加担して、実は一番容赦無しに踏み込んでくるカカシから質問責めを受けたが。
そんな三人を、ふわりふわりと躱しながら木ノ葉隠れへと帰還した。
その道中で、キリは対応の違いに、苦笑いを浮かべていた。
サスケを除いた第7班は、正直かなりしつこかったのである。
途中、キリは詮索に対して、割と露骨に牽制した。けれど、お構い無しに質問を繰り返すナルトとサクラ。
そして何よりも、キリの牽制に、ナルトとサクラを盾にして、切り込み続けるカカシが厄介なことこの上無い。