第62章 名コンビ
「まあ負債抱えてんのはまだまだ俺だけどよ」と、表情そのままに言えば、ようやくキリも少し表情を和らげた。
キリ「ありがとう。後は、私がやるわ」
シカ「これぐらいの傷、なんともねぇよ」
キリ「軽度には見えないわ」
シカ「お前な、逆の立場ならやめるか? 自分が怪我してるからって、俺一人に戦わせて自分は休めんのかよ?」
まず、キリの性格上、100%あり得ないだろう。
キリ「………ええ」
シカ「ぶっ、みえみえの嘘ぶっ込んで来るんじゃねぇよ! 吹いちまっただろーが!」
シカ(……よし、血も止まったみてぇだな)
シカ「骨が折れようが死にかけてようが、どんだけ周りが止めようが、お前は絶対戦い続ける。そういう奴だ」
ひとまず、止血が出来た事を確認して、シカマルはくるりとクナイを回した。
シカ「じゃあ俺は、どういう奴に見える」
そう問えば、キリは少しの間をとった後、小さく息をついた。
どうやら、もう休戦を命じられる事はなさそうだ。
キリ「……無理はしないで」
シカ「おう。二人で一気に行くぞ」
キリ「ええ」
ダッと同時に地を蹴ったキリとシカマルは、肩を並べて、敵にクナイを構えた。
キリが2、3、4と、速くて浅い連撃を繰り出している間に、振りかぶったシカマルが術者の頭部に拳を振り抜いた。
頭を傾けて拳を避けた術者に、シカマルが上段、キリが中下段に攻撃を繰り出せば、キリの中段が敵を体をかすめる。
『チィッ……』