第15章 知らないこと
それほどに事態は予期せぬもので、同時にそれは致し方ないものだった。
サスケですら、雷影の攻撃には反応出来ていなかった。
シカクとカカシも、抜け忍の時のように事前に声をかける時間はなかった。
雷影の奇襲を受けた時。
シカマルが状況を理解出来たのは、キリが血を吐いて地に膝をついた時にようやくだ。
隊の最後尾にいたキリが、いつの間にかシカマルたちの前にいた。
半分だけ抜かれたキリの刀。
もしもあの時、キリ一人だったならば、キリはあの攻撃にもそなえられたのではないか。
少なくとも無傷とまではいかないにしても、あそこまでの大怪我を負うことはなかっただろう。
そして、キリの傷は本来、シカマルが受けるはずの傷だった。
つまり、シカマルたちがキリの足を引っ張ったのだ。シカマルはあの状況で完全なお荷物でしかなかった。
ギリッと握った拳に力が入る。
キリ負傷の原因は自分にあった。
シカ(くそっ)
シカマルの頭に、自分を庇って血を流しながら痛みに耐えるキリの姿が浮かぶ。
病院へついたシカマルは受付へと向かう。
シカ(どんな面して会っていいのかもわからねー)
それでも、直接会わなくてはいけなかった。会って、まずはキリの容態を知りたい。そして、謝らなくては。