第61章 相性最悪
『君はあとでもいいから、今は後ろの子を仕留めておきたいんだよね』
それはそうだろう。シカマルが敵の立ち場であれば、間違いなくキリを仕留める事を優先する。
実際に、キリが戦線離脱した途端に、一方的な展開になった。
正直、ナルトの有無はどちらでもいいが、キリの戦力が削がれるのは致命的だ。
シカ「そう……は、させるかっての、っ」
ガツガツと繰り出される連撃を避けることも出来ず、シカマルの身体は至る所から出血し、赤く染まっていく。
シカ(つっても、これ以上はもうもたねぇ……! くそっ)
好きな女一人、守ることが出来ないのかと、歯噛みしていた時だった。
シカ「!!」
肩からとめどなく溢れる血と、敵の攻撃も重なり、シカマルのクナイがポロリと手から離れる。身体の限界は近かった。
『避けたら、君は助かるよ』
いやらしい笑みを浮かべ、クナイを突き立てようとする敵に、こちらが出来る選択は二つしか残されていなかった。
避けるか、このまま盾となるか。
シカ「キリ、悪い……!!」
ふっとシカマルは上体をかがめて、そこに露わになったキリの姿に、敵は高らかに笑い声を上げる。
『ははっ! そりゃあ自分の身が一番可愛いよね、良い判断だ』
『ここまで頑張った方だよ』と言って、敵はキリの首を目掛けて、クナイを振った。