第61章 相性最悪
キリ「はぁあっ!」
刀を手に、キリが術者へと斬りかかれば、刀を受けた術者はナルトを払うようにして腕を振る。
遠心力で腕が抜けたナルトの身体が地面を転がるのを見て、キリはぎゅっと刀の柄を握りしめる。
キリ(私の、せいでっ……!)
震えて落ちてしまいそうな刀を、必死で掴んで、キリは奥歯を噛んだ。
キリ(私の……っ)
ナルト「残念だったな! こっちだってばよ!!」
刹那、ガッと術者の顔面を殴りつけたナルト。
それにキリは目を開いて、先ほど腹部に穴を開けられたナルトに視線を向けると、それはボンッと煙を残して姿を消した。
キリ(…………)
ナルト「ざまぁみろってばよ!!」
「まんまと騙されたな」と、笑い声を上げるナルトに術者は顔を歪ませた。
『……目障りだ』
そう言って地面に手をつけた術者を見て、キリは即座にその場を離れる。
キリ「下がって!!」
シカ「!」
ナルト「うぉぉお!?」
キリの声に反応したシカマルもまた、その場を離れれば、途端に盛り上がる土に、ナルトの足が取られた。
なんとか土から逃れようと暴れるが、再び土に捕らわれたナルトは、離せと喚き散らす。
キリ(影分身なんていつの間に……でも、良かった)
敵の腕がナルトの腹を貫通した時は、肝が冷えた。安堵半分、呆気半分でキリはナルトを見つめる。
『随分と余裕だな』
キリ(しまった……!)
そう思った時には、すでに手遅れで。
術者の攻撃がノーガードで直撃したキリの体は、木の幹へと叩きつけられる。
そのまま、ずるずるとずり落ちたキリは力なく首を垂らした。
サクラ「えっ?」
ナルト.カカシ「え…」
サスケ.シカク「………」
驚きが一周回って、辺りはしんと静まり返る。
ぴくりとも動くことなく、完全に意識を失っているキリを、ナルトたちは口を開けて、呆然と見つめる。