第61章 相性最悪
キリからの賛美に胸をあたたかくさせていれば、飛んできた敵からの攻撃。シカマルは慌てて上体を反らして回避する。
1発目の手裏剣を避けたのはいいが、2発目の手裏剣を避ける時間がなく、舌打ち混じりに腕でガード体勢を取れば、それはキリのクナイによって弾かれる。
シカ「っ、キリ悪い」
シカ(調子に乗ってる場合じゃねぇ)
シカマルが目の前の敵に、再び集中した頃。
ナルトの戦いも動き始める。
…………………………
ナルト「多重影分身の術!!」
キリ「!」
ボンッと新たに現れた、二体のナルトの影分身。
その影分身と共に突っ込むナルトの横に、キリも並走しようと足を踏み出して、キリは急停止する。
影分身二人がコンビネーション技を繰り出そうとして、敵により呆気なく一掃されたのだ。
ナルト「くそっ、まだまだこれからだってばよ!!」
そうしてまた、影分身を繰り出すナルトに、キリは思わず眉を寄せた。
キリ(やりにくい……っ)
突拍子もないナルトの攻撃。
まるで前後の流れに脈絡もなければ、意味のない攻撃すら混じるナルトの戦い方に、キリは上手く対応出来ずにいた。
予想外の動きばかりするナルトだが、かといって、それが良い手に繋がる事もあり、無駄な手だけなわけではない。
ただ、その見極めがひどく難しく、結果、うろうろと無駄に辺りを行き来するキリがいるのだ。
ナルト「くらえってばよ!!」
キリ「駄目! 今は……っ!」
シカマルへの援護射撃中、術者に突撃していくナルトに、キリは声を上げる。
キリ「!!!」
サクラ「きゃああ!!」
サスケ「ナルト!」
次の瞬間、ナルトの腹部に術者の腕が貫通したのが見えた。