第60章 背中合わせ
こんな時のために今まで修業をしてきたのだろうと、告げたシカマルの鼓動を背中で感じながら、キリはふと口もとに弧を描いた。
キリ「任せるわ」
シカ「おう」
シカ「キリ、来るぞ!」
キリ「ええ……!」
二対二のこの戦いは、少々キリ達が押され気味だった。
シカクとカカシからの指示にも助けられ、キリ、シカマルと互いに大きなダメージはまだないが、ヒヤリとする場面もあった。
数分、そんな攻防戦が続いて、戦闘の中でキリからシカマルにチラリと視線が送られた。
シカ「!」
次の瞬間、敵の横蹴りがキリの腹部に入り、キリの身体が宙に浮く。
キリ「かはっ」
ナルト「キリ!!」
ざさぁっとナルトたちのところへ転がるキリは、咳き込みながら身体を起こした。
追撃にと、敵はキリの後を追いかけ、さらにもう一人もそれに続こうとしたところで、シカマルは相手の顔面に拳を振り抜いた。
『っ!!』
シカ「お前の相手は俺だろうが」
『くそガキが、あまり調子に乗るなよ……!!』
シカ「あんたは、そのくそガキ一人仕留められねぇけどな」
ふと口角を上げれば、怒りを露わにした敵の攻撃の手数が増える。
シカ(っ、単純で助かるな)
手数は増えたものの、少し雑になった攻撃は避けれない速さではない。
だからこそ、キリは比較的スピードの遅い敵をシカマルにあてがってくれたのだ。
シカ(お前より、キリの方が全然速ぇ)