第60章 背中合わせ
第60話 背中合わせ
ナルトたちに加えて、シカクとカカシまで敵に捕らえられ、自由に動けるのはキリとシカマルのみ。
気を抜けるような状況ではないと、シカマルがキリに視線を送れば、キリは苦虫を噛み潰したかのような顔をしていた。
シカ「キリ?」
キリ「……幻術にかかってた時の記憶は?」
シカ「は? ……あ。そういや、かなりハッキリしてきたな」
はじめのうちは、ぼんやりとしていた記憶も、時間とともに明確になってきた。
そうして蘇る記憶たち。
思い出す毎に、キリは己の失態を酷く恥じる。
シカ.キリ「!!」
そんな時、敵に動きがあり、二人の忍がキリたちを挟み込む。
シカ「っ、やべぇな」
キリ「私から離れないで」
シカク「キリ! シカマル! 来るぞ!!」
シカクの声と共に、攻め込んできた敵と渡り合い、その場を凌ぐ事は出来たが、戦況は芳しくない。
残る四人の敵のうち、一人は土遁の術を仕掛けていて身動きがとれず、一人くノ一は戦闘に参加する意思がみえないのが不幸中の幸いといえる。
だが、残る二人は接近戦に長けているようで、その相手も容易ではない。
シカ(どうする)
キリ(少し、このまま時間が欲しい)
シカ(現状維持でいいのか?)
キリ(ええ、あと少しでいいわ)
それまでどうか負傷してくれるなと言うキリに、シカマルは気合いを入れ直して小さく頷き返す。
パッと背中を合わせて、キリとシカマルは互いの前にいる敵と向かい合う。
キリ「援護するわ。油断だけしないで」
シカ「ばーか、サポートは俺の役目だ。キリ、お前は好きにやれ」