第60章 背中合わせ

ガツガツとシカマルと敵の肉弾戦が始まる中、もう一人の忍が、腹を押さえたまま咳き込んでいるキリのもとへと迫る。


ナルト「キリ！ 危ねぇってばよ！ 早く逃げ……！！」

『っ！！』


敵の拳が届く前に、キリの刀が振り抜かれた。


ナルト「あ……」

サクラ「え……？」

サスケ(こいつ今……いつ刀を抜いた……？)


あんぐりと口をあけているナルトたちの前で、敵はそのまま天を仰ぐようにして背中から倒れこんだ。


ナルト「し、死んだのか?」


キリ「まさか。峰で打ったわ」


そういえば、血一つ出ていない敵の姿に、ナルト達はまたポカンと目を開いて、キリを見つめる。


そして、印を組み上げたキリは、地面に片膝と右手をつける。


ナルト.サスケ.サクラ「「！！」」

『なっ！？』


上の方からガラガラと、ナルト達を捕らえている岩が崩れ始める。

キリが、さらにチャクラを練りこめば、岩の崩壊速度はより速まった。


キリ(シカクさん達は……駄目、届かない)

術者の最も近くにいて、ナルト達よりもずっと密度の高い術を破壊することは、今のキリには不可能らしい。


それを悟って、キリはシカク達の方へ伸ばしていたチャクラの全てをナルト達へと向ければ、まずキリの1番近くにいたナルトの岩が全壊する。

ナルト「キリ！ 助かったってばよ！」