第59章 敵の罠
シカ「あ……なん……だ?」
シカク「!」
もともと、幻術にかかりきっていないキリから幻術が伝わったシカマルは、術のかかりが弱かったのだろう。
幻術が解けたシカマルは、きょろきょろと辺りを見回した。
シカク(カカシの攻撃で、術者の集中力が途切れたか)
幻術に加えて、相手の精神を乗っ取るのはかなりの高等忍術だ。
いつ綻びが出てもおかしくはない。
シカク「シカマル! キリの幻術を解け!!」
シカ「!」
シカク「早くしろ!」
シカクの指示を聞き、シカマルは状況を把握する間もなく、すぐ隣にいたキリを捕まえる。
シカ「解!」
キリ「!!」
ハッと動きを止めたキリの横を抜けて、シカクは迫り来る敵を迎え撃つ。
シカマルと同じように、辺りを見回したキリは、シカクに切り込む二人の敵を見て、即座に地面を踏み込んだ。
『く……っ!』
ひゅっとキリの刀が敵の腹を裂き、そこに畳み掛けるようにシカクの連撃がはいり、更にキリの斬撃も加わる。
『があっ』
『っ!!』
どさりと意識を飛ばした忍と、シカクの蹴りをくらい、宙に浮いた敵はそのまま後方の木へ叩きつけられる。
シカク(ちっ、今のは浅いか)
キリ「シカ、クさん、私……?」
視線を絶えず左右に散らして、頭の整理に努めているキリに、シカクはぐしゃりと頭をなでる。
シカク「手間かけさせやがって」
「お前は頼むから味方でいてくれ」と、苦笑するシカクに、状況を把握したキリは八の字眉で苦渋の表情を浮かべた。