第59章 敵の罠
シカク(なんだ? ……!!)
キリの瞳を見た瞬間、 吸い込まれそうになった意識。シカクはただちに印を組み合わせる。
シカク「解!」
シカク(チッ、幻術か)
シカク「キリ、悪いな」
ドッとキリの腹に蹴りを入れると、そのままキリの身体は後方へと吹っ飛んでいく。
シカク「あと4……5人、か」
仕留めるつもりで放った随分と重めの蹴りだったのだが。しっかりとガードされていたようで、受け身をとって立ち上がるキリの姿に、苦笑いがこぼれる。
カカシ「シカクさん」
サスケが振り下ろしたクナイを、間に入ったカカシが受け止める。
カカシ「これは一体……?」
シカク「よし、カカシはかかってねぇみてーだな」
カカシまでが幻術にかかっていれば、状況は非常に逼迫するため、危惧していたのだが、これで最悪のケースは免れた。
カカシ「すみません、ナルトが少し目を離した隙に居なくなりました」
本当に申し訳ないと謝罪を告げるカカシに、シカクは苦い顔を見せる。
シカク「いや、俺も人の事は言えねぇ。幻術だ。目を媒介にして術にかかる。気をつけろ」
カカシ「幻術、ですか」
シカク「ある程度距離がありゃ問題ないが、至近距離で見るとちっと面倒だ」
カカシ「とりあえず、片っ端から幻術解いていくしかないですね」
シカク「ああ。……最悪、キリは気絶させてもいい。外からチャクラの乱れを整える間に、反撃がくる可能性が高い」
カカシ「了解」
タッと地面を蹴ったナルトとサスケ。
対となり、多数のコンビネーション技を繰り出してくるナルトとサスケに、カカシは思わず苦笑いを浮かべた。
カカシ「ちょっと、お前ら普段からそれやってちょーだいよ」
「何それ初めて見るんだけど」と、眉を下げつつ、カカシはヒラリとコンビ攻撃を避けて、ナルトの背に手を置いた。