第59章 敵の罠
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シカク(これなら、あいつらも問題ないな)
進行方向の経路確認を終えたシカクは、よしっとひとつ安堵する。
これからの道のりには、山岳と小さな崖があるが、この程度ならばナルト達も越える事が出来るだろう。
【っ、シカクさん!!!】
シカク「!!!」
突如聞こえてきたキリの叫び声に、シカクは即座に来た道を引き返す。
離れたといってもほんの少し。
声が聞こえる程度の距離にいて、敵の気配はやはり感じられない。
だが、 キリのあの声からして、状況が深刻である事は読み取れる。
シカク(くそっ、離れるべきじゃなかったか)
シカク「キリ! 何があった!?」
ザッと木々を抜けて、そこへ戻ると、キリを含めた5人の部下だけがそこに居て、シカクはひとまず敵襲でなかった事に安堵する。
見た感じでは、全員負傷もなく元気そうであるが、一体何があったというのだろうか。
シカク「キリさっきの叫び声はどう……!!」
ある程度、距離を詰めたところで、シカクに向けて、5人から一斉にクナイと手裏剣が放たれた。
それらを避けると、次はクナイを片手に攻め込んでくる部下達。
シカク「ちっ」
ひとまず、気絶させようと真っ先に突っ込んで来たナルトに手刀を入れようとした時。
その背後からナルトを飛び越え、ふわりとキリが現れる。
シカク「!」
そのまま両手を伸ばしたキリは、そっとシカクの頬を包んで、まるで口付けでも落とすかのようにシカクに顔を近付けた。
シカク「キリ?」