第14章 まきぞえ
戦闘体制を解いて、シカクは固まるキリの背中に手を添える。
ナルト「さっきから何むちゃくちゃな事ばっか言ってるんだってばよ!キリ!お前も何か言い返せ!」
キリ「……………」
雷影「来ないか。まぁいい。気が変われば来い。受け入れてやる」
ふんっと身を翻して、雷影は去っていく。
ナルト「なんなんだあのおっさん!結局謝ってねーじゃねーか!」
キリ「っつ」
ずきっと肩にまた激痛が走って、キリは小さくうめき声を上げる。
シカク「キリ!まずい、すぐ木ノ葉に戻って治療が必要だ。急ぐぞ!」
キリの脈がわずかに落ちてきてたのが分かる。シカクはキリに背を見せるように、しゃがみ込んだ。
シカク「キリ、乗れ」
極力、傷に障らないようにキリを背負おうとすれば、本人の手によってそれは遮られた。
キリ「自分で行けます」
シカク「馬鹿言うんじゃねえ!いいから乗れ」
キリ「問題ありません」
シカク「帰路は今までよりもスピードを上げる。今のお前じゃ無理だ」
シカクが半ば叱責するように言っても、キリは「遅れはとりません」と自らの足で帰路を行こうと足を進めて、シカクはため息をついた。
シカク「キリ、隊長命令だ」
その言葉で、キリは酷く苦い顔をして立ち止まる。
肯定はしないが、否定もしなくなったキリを強制的に背中に背負って、一同は木ノ葉への帰還を急いだ。
…………………………
ーー帰り道の苦悩ーー
シカク(……どうしたって、お前にとっちゃここは気の休まるところにはならねーか…)
カカシ(……木ノ葉にいるのは息苦しいか、キリ…)