第59章 敵の罠
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みんなのもとへと戻ってきたナルトは、サクラに右手を差し出した。
サクラ「何よ? ……あ! それ! あんた何処で見つけたの?」
ナルトの手のひらにある木の実を見て「やるじゃない」と喜ぶサクラ。
そこへ、少し眉を寄せたサスケが歩み寄る。
サスケ「ナルト、カカシはどうした」
サクラ「サスケくん! 見て、ナルトが見つけてきたの! キリー! シカマルー! あんた達も来なさいよ!」
シカ「あ? なんだ?」
キリ「? さあ」
手招きをするサクラに、シカマルとキリは顔を見合わせて、ナルト達の方へと歩み寄った。
そして、ナルトの手から木の実を取った時、「あっ」とサクラはナルトにジト目を向ける。
サクラ「ナルト! あんたちゃんと手、洗って来たんでしょ……う……ね」
語尾を弱めて、ポトリと木の実を落としたサクラに、一体どうしたのかとサスケはサクラの肩をつかんだ。
サスケ「おい? サクラ、どうし……っ」
サスケも同じように、語尾を弱めると、サクラの肩に置いていた手が、だらりと力なく落ちる。
ナルトの目から、サクラの目へ。
そして、サスケの目へ。
視線を合わせた者へと、幻術は広がり、サクラとサスケもまた、夢の中へと落ちる。
そこに、サクラに呼ばれたシカマル達も到着する。
シカ「お前ら何ぼーっと突っ立ってんだ? お、その実よく見つけたな」
言葉もなく佇む三人に、首を傾げながらも近付けば、ぐっと後ろからキリに腕を掴まれる。
シカ「!」
キリ「待って」
「様子がおかしい」と、声を硬くしたキリは、シカマルの前へ足を踏み出した。