第59章 敵の罠
第59話 敵の罠
任務に出てから数時間後。
シカマルの意気込みも報われず。
雲隠れの里に向かった一行は、そこで予期せぬ展開に表情を曇らせていた。
シカ「っ、やべぇな」
キリ「私から離れないで」
キリのすぐ後方にいるシカマルは、左右を敵に挟まれながら、冷や汗を流す。
シカク「キリ! シカマル! 来るぞ!!」
キリ「はい!」
鉄がぶつかり合う音がして、キリは敵の攻撃を受け流すと、即座に相手の懐へ踏み込んで、斬りかかる。
一、二撃と躱されたが、スピードではこちらがほんの少し勝っていた。
キリ(これなら……っ)
このまま押し込めると、さらに踏み込もうとした時。
キリの視界に、シカマルにクナイを向ける敵の姿が見えた。
シカ「っ」
キリ「!!」
すぐに、シカマルの方へ振り向きざまに刀をふるえば、それを避けた敵は後方へと距離を取る。
そして、キリと先ほど対峙していた敵を見やれば、こちらもまた崩れかけていた体勢を立て直して、キリ達と距離を取った。
キリ(……まずい。仕留めるタイミングを逃した)
シカ「くそっ! キリ悪い」
キリ「いえ、構わないわ」
そう言ってはみるものの、現状はかなり厳しい。
チラリと辺りを見渡せば、キリとシカマルを挟む忍が二人。
少し離れたところで、それを高みの見物としているくノ一が一人。
さらに、少し離れて、術をかけている忍が一人。
それに対して、こちらは敵の土遁の術によって、 捕縛されたシカクと第7班。
今自由に動けるのは、キリとシカマルの二名だけ。
あっという間に、このような状況に陥ってしまった事が、悔やまれて仕方がない。
キリ(私が幻術なんかに、かからなければ……っ)