第58章 任務の裏側
綱手「任務中、敵が五人。突然襲って来たとする。ナルト、お前はどうする?」
ナルト「そんなの決まってるってばよ! 俺の影分身でっ」
そこまで言った時、綱手にチョイチョイと手招きをされて、ナルトは誘われるままに身体を近付ける。
綱手「不合格。出直してこい」
ナルト「いっでぇぇぇぇ!?!?」
ビシィッと、でこピンにあるまじき大きな音を立てた綱手の怪力に、ナルトはおでこを押さえて悶絶する。
綱手「ったく、お前はチームワークという言葉をよく考えろ。シカマルはキリと組んでも問題がないぐらいに、キリを理解している。それに踏まえて、担当上忍は勝手知ったる自分の父親だ」
綱手は、呆れたように言葉を続ける。
綱手「それに比べてナルト。お前はキリ、シカマル、シカク。その誰もが互いの戦闘力を知らん。そして敵と遭遇しても、他のメンバーなんてお構いなしで即個人プレイ。お前一人で影分身で突っ込まれてみろ。同じ班員の奴らはたまったもんじゃない」
ナルト「ぐっ…」
綱手「仮に交換条件があったとしても、そんな奴を危険のあるBランク任務に、班を離れて一人就かせるつもりはない」
そう断言すれば、ナルトは言い返す言葉がないが、どうしても諦めきれずに食い下がる。
ナルト「そ、それなら俺たち7班にもっとすげぇ任務くれってばよ! キリだって、シカマルだってBランク任務行くんだろ! 芋掘りとか迷子探しとか、こんな任務ばっかやってらんねーってばよ!!」
綱手「実力に応じて任務を与えている。上の任務に就きたいなら、まずはそこで成果を出せ」
ナルト「こんな任務に成果もなにもねぇってばよ!!」
綱手「しつこい。カカシ! お前のとこのだろう、なんとかしろ」
カカシ「!」
綱手からキッと鋭い視線を向けられて、カカシは苦笑する。
カカシ(ほら結局、俺が怒られるんだから)
いやもう、そろそろこうなるだろうと思っていた。