第58章 任務の裏側
ナルト「俺もその任務に参加させてくれってばよ!」
綱手「断る。出て行け」
間髪入れずに叩ッ斬られた事にも気に留めず、ナルトはうんうんわかっていると何度も頷く。
ナルト「7班じゃなくてもいいってばよ、任務に就くのは俺一人でーー」
綱手「駄目だ。出て行け」
言い切る事も出来ずに断られてしまったナルトは、不平をこぼした。
ナルト「なんでだってばよ!! シカマルは良かったじゃねーか!!」
綱手「シカマルの件はいわば交換条件だ。代わりにシカマルが製薬した薬を貰った。だが、ナルト。お前から貰うものは何もない、つまり任務に就かせてやる理由がない」
ナルト「え……っと、あ!! 綱手のばあちゃん肩揉んでやーー」
綱手「それに」
ナルト「!」
綱手「仮に交換出来る案件があったとしてもだ。お前がシカマルと同じように11班に入る事は不可能だ」
ナルト「なっ!? そんなのやってみなくちゃわかんねぇってばよ! 俺だってすげー修業して、強くなってんだ」
綱手「そういうことじゃない」
じゃあなんだと言うのだと、わめくナルトに綱手は眉をひそめる。
綱手「では聞くが、キリの得意な攻撃はなんだ?」
ナルト「は?」
綱手「キリのもっとも得意とする、又は威力のある技でもいい。それは何かと聞いている」
ナルト「えーとキリの……た、体術……? あ、刀!!」
その答えに、ため息をついた綱手はチラリと視線を変えた。
綱手「シカマル」
シカ「居合っすね。キリの抜刀の速さは正直ついていけねぇ」
綱手「シカク、シカマルの答えはどうだ? 合ってるか?」
綱手の問いかけに、シカクも違いないと肯定する。
近頃はシカクも、キリの抜刀に苦笑いを浮かべる回数が増えてきた。
刀を抜いた状態のキリよりも、抜いていない状態のキリを相手にする方が、よほど怖いものがある。
上忍でも隙を見せれば、ヒヤリとさせられるあの抜刀の速さは、間違いなくキリの武器であり、敵の脅威となるだろう。