第58章 任務の裏側

カカシ(いやー、またタイミングがね……)


7班での任務内容にしびれを切らしたナルトは、ついに火影に直談判しに行くと立ち上がった。

それを妨害しつつ、引き返そうと説得しつつ、ナルトについてきたのはいいが。


ちょうどそこで、中からシカマルと綱手の会話が聞こえてきて。

あれよあれよとBランク任務に、シカマルも就く事が決まってしまった。


カカシ(まあ、そんなの聞いちゃったら今のナルトは、尚更引かないよねぇ)

なんとも面倒な事になったものだと、カカシは頭を悩ませる。


カカシ「ナルト、任務はお前が決めるんじゃないんだから。俺が怒られちゃうでしょうよ」

ナルト「だってさ、だってさ！？ 俺ってば、早くみんなを認めさせる忍者になりてぇんだってばよ！ なのに、こんな雑用ばっかじゃいつになったって……」


カカシ(まあ……その気持ちもわかるけどね)

はぁ、とひとつため息を落として、カカシはヒラヒラと手を振った。


カカシ「すみません、シカクさん。シカマルも。こっちは何とかするので、二人は自分の持ち場へ戻って下さい」

シカク「おお、まあなんだ。頑張れよ、カカシ」


カカシ「はい……」


手のかかる子を持つカカシに、憐れむ視線を向けるシカク。

それに、疲れた微笑みで返事をかえせば、去り際にシカクからポンっと肩を叩かれて、その優しさが身に染みた。


シカ「なんか、すんません」


自分はその任務に食い込んだ手前、ナルトを説得する事も出来ず、シカマルはポリポリとバツの悪そうに頬をかく。


カカシ「いやいや、シカマルが悪いわけではないしね」

そう。シカマルが悪いわけでは全くない。


だが、シカマルの話があったからこそ、ナルトはいつも以上に食い下がるのだ。