第58章 任務の裏側
綱手「その追い付きたい奴ってのは誰の事だ? ん?」
シカ「っ…」
綱手「お前の同期で追い付きたいとなると……」
すぐに、その答えが導き出されたのであろう。いや、すでに答えを分かっていての問いかけかもしれない。
綱手はより一層、含み笑いを強めた。
綱手「キリだな」
シカ「っ!!」
顔に熱が集中したのが、自分でもよくわかった。
一瞬でゆでだこのようになったシカマルを見て、吹き出したシカクと、ついにくつくつと声を上げて笑う綱手。
さらには、笑ってはいけないと。しかし、まるで堪えきれずに身体を震わせているシズネに、シカマルの羞恥心は煽られる。
綱手「くくっ、分かりやすい奴だな。しかしまた、随分と大変そうな相手を選んだもんだ」
とうの前に、下忍のレベルを越えてるキリは、中忍試験をまだ受けていないだけで既に綱手達の中では、中忍レベルの忍者として認識されている。
また、担当上忍であるシカクから、提出される報告書を見るたびに、その能力を高めているキリに、追いつこうというのは中々厳しい道のりだ。
綱手「くっくっ、まあしっかりやんな」
「色々とな」と真っ赤になったシカマルにエールを送れば、シカマルも小さく頷いた。
シカ「っす」
これ以上、話を掘り下げられる前に退散しなくてはと、シカマルが帰宅を促せば、綱手は笑いながら薬に視線を向ける。
綱手「ああ、薬の個数の確認を行う。すぐに終わるから待ってろ」
そうして、シズネと共に確認を行う綱手を、シカマルは火照る頬を冷ますことに努めながら待機する。