第58章 任務の裏側
綱手とシカマルのやり取りを見守っていたシカクは、くつくつと笑いをこぼしながら、シカマルに助け舟を出す。
シカク「火影様」
綱手「ああ?」
シカク「確かに、チームワークという面ならシカマルとキリなら大丈夫でしょう。それに11班に参加するなら、シカマルの面倒も俺が見ます」
失礼な態度をとった事に関しては後でこってりしぼっておくと、告げれば、綱手は眉をひそめたまま大きく息をついた。
シカク「ここらでひとつ成長する良い機会だとも思うんで、どうか任せてもらえませんか」
綱手「ちっ……わかった、今回だけだ。いいな、次はない」
不機嫌そうにしながらも、本当は怒ってなどいない綱手に、不器用な人だなんて思いつつ、シカクは笑みを浮かべる。
シカ「!」
シカク「ありがとうございます。ほら、シカマル」
シカ「ありがとうございますっ」
パッと表情を明るくしたシカマルに、やれやれといった表情のシカクと綱手は互いに目を合わせる。
綱手「そうと決まれば、早くその薬を渡せ」
今にも風で飛びそうで危なっかしくて見てられないと告げた綱手に、シカマルは包みを直して、綱手にそれを手渡した。
綱手「任務に就くからには、しっかりやんな。何もせず帰って来るんじゃないよ」
シカ「はい」
力強く頷いたシカマルに、綱手はニッと口角をあげる。
綱手「いい顔だ。なんだ、聞いてた話と随分違うじゃないか」
アスマ率いる第10班、猪鹿蝶はもっと大人しいものだと思っていたが、実のところ意欲が高いらしい。
シカク「ま、追い付きたい奴がいるんだ。そら必死にもなるよなぁ。シカマル」
シカ「なっ!」
いきなり何言い出すんだと、慌てるシカマルに、綱手はにやりと笑みを浮かべた。
綱手「ほぉぉ……なるほどねぇ」
にやにやと、いやらしい笑みを浮かべてこちらを見ているシカクと綱手より。
それよりも。
あらあら。とあたたかな微笑みを浮かべながらこちらを見ているシズネの視線の方が、恥ずかしさが倍増するのは、一体何故なのだろうか。