第58章 任務の裏側
シカ「!!」
綱手「お前達と3班では正直差があり過ぎる。今回は戦いになることは事前にわかっているからな、お前達では力不足だ」
シカ「3班の代わりにってわけじゃねぇ。任務に参加すんのは俺だけでいいんで」
綱手「……何?」
シカ「今朝ちょうど、10班で任務終えたばっかで明日からは少し休みがあったはずだ。次の任務もDランクの雑用だっつってたし、最悪、俺が間に合わなくてもどうにでもなる」
綱手「駄目だ」
シカ「なんで駄目なんすか」
綱手「お前達下忍はまだ経験が浅い。急に他の班に入ったところで、そこで上手く立ち回れないだろう」
バッサリと切られたその言葉に、シカマルは真っ向から立ち進む。
シカ「俺なら」
綱手「!」
ぐっと一歩乗り出したシカマルに、綱手は書面へと落としていた視線を上げる。
シカ「俺なら、キリと組める。同世代で、あいつの隣に並んで戦えんのは俺だけだ」
その強い眼差しに、綱手はひとつため息をつく。
綱手「しつこいぞ。駄目なものは駄目だ。これ以上この件について話すつもりはない」
こっちはまだ仕事が残っているから、残りの薬を置いて早く出ていけと圧をかける綱手に、シカマルは黙って懐にある薬を取り出した。
シカ「……」
綱手「おい、お前何してっ……」
スタスタとそのまま窓際まで歩いていったシカマルは、ガラリと窓を開く。
そして、薬の包みを開いたかと思えば、シカマルはその包みごと、窓の外へと腕を伸ばした。
シカ「もう家にツノの蓄えは無い。今から、親父一人で森に採取しにいって、薬の製薬。……ぜってー間に合わねぇだろうな」
綱手「なっ、お前っ」
スッとシカマルの高く上げられていた腕が、下へとさがっていく。
シカ「これ、必要なんすよね」
綱手「待て、シカマル!!」
ピタリと、腕の降下を止めて、シカマルは綱手を見据える。
シカ「任務、俺も就いていいって事でいいっすか」
綱手「っ~~、火影を脅そうなんていい度胸だな」
綱手は眉間に皺を寄せながら、呆れたようにシカマルを見る。