第58章 任務の裏側
綱手「なんでも、雷影直々にキリを指名してきてな。先方はたいそうキリを気に入ってるそうなんだが。雷影と何か関わりがあったのか?」
シカク「ええ、まあ……以前に少し」
さすがに向こうの発言に腹を立てたキリが、雷影の頬に蹴りを入れました。とは言えなかった。
綱手「そうか、まあ詳細は置いとこう。任務の話に戻るが、さすがにキリが優秀だと言ってもシカクと二人では厳しいだろう。ガイ率いる第三班の四人もつける。どうだ?」
雷影は人手不足といえども急ぎではなく、キリならば代行を頼むが、それ以外の忍斡旋するのであれば、雲隠れで対処すると言っているらしい。
シカク(………)
雲隠れが他里にこういった救援要請を出す事は、まずあり得ない。
雷影がふと気まぐれに出した任務要請であろうが、ここから里同士の交友関係を築く事が出来る機会でもあり、断る事は得策ではないだろう。
シカク「お引受けします。キリなら上手くやれるでしょう」
ここ最近のキリは、めっぽう実力が上がってきた。
任務中はもちろんシカクもキリを援護する。
それに、ガイ班も中々に粒揃いだと噂に聞く。よっぽどの事がない限りは任務遂行は可能なはずだ。
綱手「悪いな。 こちらとしても霧隠れと繋がる機会を逃したくはない。準備が整えば明日にでも出発してくれるか」
シカク「御意」
話がまとまりかけたところで、一連の流れを見守っていたシカマルが口を開いた。
シカ「その任務、俺も参加させてくれ」
綱手.シカク「!!」
綱手「なんだって?」
シカ「俺も、その任務に就かせて下さい」
綱手「……シカマル、お前がねぇ。シズネ」
シズネ「はい」
パラパラと、シズネから受け取った書面を見て、綱手はうーむと唸り声をあげる。
綱手「第10班、猿飛アスマ担当の猪鹿蝶か。今までの任務は……Dランクと、Cが……」
しばらく、書面に目を通していた綱手はパタリとそれを閉じた。
綱手「無理だ。お前達にこの任務はまだ早い」