第58章 任務の裏側
カカシ(いやーそれにしても、ナルトの扱い上手いねシカマル)
手のかかる部下をこう簡単に丸めてくれると、助かっちゃうなぁとシカマルの統率力に感嘆しながら、カカシはパンパンと手を叩いた。
カカシ「ほら、ナルト。お前が分捕った任務でしょーよ。火影様に大口叩いた手前、三班以上の働きはしてもらうよ」
「そんな風に落ち込んでいる暇なんかないだろう」と、発破をかければ、しょげていたナルトも気合いを入れ直して、ぐっとこぶしを握る。
キリ「分捕った……?」
「任務を?」と不思議そうな顔をしたキリに、シカクとシカマルは、あーっと互いに顔を合わせた。
シカ「実は昨日な……」
そう、昨日の出来事を語るために、シカマル達は、本部での一件を思い返す。
…………………………
綱手「相変わらず良い出来だ」
「急に呼び出して悪かった。早い対応で助かったよ」と、綱手は鹿のツノを用いた薬を手に、礼を告げた。
それに対して、少しげっそりした様子のシカマルが、ぽろりと悪態をついた。
シカ「まじで急過ぎるっつの、俺たちがどんだけ必死こいてその薬作ったと! いってぇぇえ」
シカク「シカマルお前、火影様に向かってなんて口聞いてんだ」
シカクから、ゴンッと頭上に雷を落とされて、シカマルはむすっと口をつぐませる。
シカク「申し訳ありません」
うちの息子が失礼を、と一つ頭を下げれば、綱手はカラカラとそれを笑い飛ばした。
綱手「いや、いい。悪いのはこっちだからな。シズネ、あれを持ってきてくれ」
そう言われて、シズネはパタパタと奥へ入ったかと思えば、一枚の任務要請書を綱手に手渡した。
綱手「シカク、これを11班に頼みたい」
そこに書かれていたのは、Bランク任務。
依頼人は、雲隠れの里:雷影。
任務内容は「昨今雲隠れの里に密偵が出現。人手不足のため、密偵捕獲を願いたい」との事だった。