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ささめごと -ながい夢- 【NARUTO】

第57章 迷い





そんなシカクのもとへ、キリはタタッと歩み寄る。

キリ「いえ、お疲れ様です」

シカク「おお、ありがとな」


シカ(………)


そんなキリとシカクのやり取りにも、感じた小さな違和感。


シカ(今の、聞こえなかったか?)


シカクよりも、近くにいたのはシカマルだ。

確かにシカクに遮られて、話があると最後まで言い切る事は出来なかったが。


それでも、キリの名は呼んでいたのに。

聞こえているならどうしたのかと、聞き返してきたって良いだろう。

シカ(こういう所……なんだよな)


しかし、シカクとキリのやり取りもまた自然で、気のせいだと言えるのも事実。


シカ(あー、くそ)


確信はないが、もやもやと何か腑に落ちない気持ちになる。


シカ「!」


すると、こちらを見ていたらしいキリと視線が重なった。

キリ「修業、行かないの?」


その言葉にハッと我に返って「すぐに行く」と返せば、キリはこくりと頷いた。


キリ「早く行きましょう」

シカ「おう」


少しの微笑みと共に、そう言われた言葉。


シカ(俺の思い過ごしか?)

やはり、いつも通りのキリなのだろうか。


シカ(チョウジといのも、別に変わんねぇっつってたしな)


昨日、アスマ班での任務終わりにキリと出会った時。

チョウジといのを交えて少し話したが、あの二人もキリに特別変化は無いと言っていた。


幼馴染みに加えて、シカクとヨシノまでが普段通りだと言うのだ。

きっと、シカマルの考え過ぎなのだろう。


シカ(まあキリの事になると、どうも冷静に考えられねぇ事も多いしな)


これ以上、キリとシカクを待たせてはいけないと、シカマルは修練場に向かう二人の後を追う。



…………………………


この時、もしもキリにこの違和感について、聞くこと事が出来ていたら。もっと違う未来になっていたのだろうか。

あとになって、後悔する事になるのを、この時はまだ知る由もなかった。



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