第55章 カカシ相談室
ずがーんと、シカクの言葉は、カカシの胸を射抜いていった。
カカシ(そうだったのか……)
カカシは、キリにかける言葉を間違えたのではなく、後押ししようとしたその行為自体が不正解だったらしい。
シカマルとキリに結ばれてもらおうと、口出してしまったのがいけなかったのだ。
シカク「!?」
きゅっと、カカシはシカクの両手を握った。
カカシ「シカクさん、これから先生って呼んでもいいですか?」
シカク「はぁ!? 何気色悪いこと言ってんだ、やめろ!」
「離せ」と手を振り払われたが、カカシの中で、シカクが第二の師匠となった。
第一の師匠は、もちろんイチャイチャパラダイスシリーズの著作者である。
心の中で賞賛していれば、シカクからスッと鋭い視線が向けられる。
シカク「で、カカシ。お前一体何やらかしてくれたんだ」
カカシ「うっ」
圧のあるその視線と声音に、後ろめたい気持ちが高まる。
シカク「はぁー。何したかは知らねぇけどよ。そのフォローをとか、そういうのはやめとけ」
カカシ「いや、でもさすがに……その、心が痛むんですが……」
せめて、後押しは出来なくとも、キリが気持ちを封印する前の状態まで戻したい。
でなければ、キリにもシカマルにも申し訳が立たない。
シカク「一回つついて失敗したんだろうが。下手にフォローすりゃどう転ぶかわからねぇぞ。もう放っとけ。見守るぐらいで丁度いいんだよ」
カカシ「ですがーー」
シカク「わかったな?」
カカシ「うっ……はい」
キリたちが気掛かりで仕方ないが、シカクの言うようにまたフォローに失敗すれば、もう目も当てられない状態になるだろう。(俺が)
ここは黙って師匠の御言葉に従うべきかと、カカシは大人しく頷いた。