第55章 カカシ相談室
…………………………
カカシ「はぁ……」
翌日。
憂鬱感が冷めぬままに、上忍待機所へと向かったカカシ。
大きなため息をつくと、近くにいたアスマと紅から、至極迷惑そうな眼差しが向けられる。
紅「辛気臭いわね」
こっちまで鬱々した空気が漂ってくるから直ちに止めろと。
辛辣な言葉を投げつけられて、わざとらしくよろめいたカカシは、信じられないとばかりにアスマに目を向ける。
カカシ「アスマ今の聞いーー」
アスマ「カカシ、さっきからうざってぇ。やるなら外でやれ」
カカシ「………」
仮にも落ち込んでいる同僚に対して、その言葉の選択は、人として如何なものだろうか。
恨みがましい視線を送っていれば、二人に声を揃えてウザいと言われた。
カカシ「ねぇちょっと、君たち俺に酷すぎない?」
「もうちょっと優しくしてくれてもいいんじゃない」と、ため息混じりにアスマたちを批難する。
これだから嫌だ。SとSが揃うと、途端に空気が厳しくなる。
カカシ「!」
心の中で悪態をついていた時、視界の端で、待機所に入ってきたシカクの姿を捉える。
それを見て、カカシは即座に瞬身の術を組み上げた。
カカシ「シカクさん」
シカク「うぉぁっ!? カカシ!? なんだてめぇいきなりビックリするじゃねーか!」
突然、ゼロ距離に現れたカカシに、飛び退いたシカクは目を見開いてカカシを見つめる。
カカシ「いえ少しお聞きしたい事がありまして……」
シカク「ああ? それにしたってもっと普通に声かけてこい」
その言葉に、てへっと茶目っ気を出してみれば、何故だろうデジャヴ。
先ほどアスマと紅から向けられた視線と、全く同じものが自分に向けられた。
シカク「ったく、で? 聞きたい事ってなんだよ」
カカシ「いやぁ、あのですね。シカクさんは、シカマルがキリの事を好きなのはご存知ですよね」