第55章 カカシ相談室
すると、キリはうーんと少し考える素振りを見せてから、首を振った。
キリ「応援……は、しません。きっと、出来ないとおもいます」
「それなら」と、追撃を試みようとしたカカシよりも早く、キリは続ける。
キリ「私が特別、二人が結ばれるようにと、動くことはしません。でも邪魔も、しません。ただ、彼が誰から言われるまでもなく、惹かれる相手が出来た場合は、祝福します」
「それに少し意地が悪いかもしれませんが、必ずしも私が、応援しなければならないということもないは思います」と、告げるキリに、カカシは追撃の言葉を飲み込んだ。
カカシ(確かに、ね)
キリが自身の恋心を潰してしまうのと、他人の恋を応援するのはまた別の話しだ。
むしろ意地が悪いのは、キリではなく、こういった質問を問い掛けるカカシの方だろう。
カカシ(うーん……まいったな)
キリの言う理由が、カカシにはよく理解出来てしまうから。
そして何より、カカシに向けるその瞳に、強い意志があって。これ以上の口出しが難しい。
すると、キリも会話が終わった事を悟り、ぺこりとカカシに一礼を向ける。
キリ「カカシさん、本当にありがとうございました」
「話を聞いてもらえて良かった」と、迷いのない笑顔を向けてくるキリを何とか引き止める術を考えるが……きっと同じ状況であれば、キリと同じ判断をしてしまうカカシには、その言葉が浮かんで来ない。
キリ「では、私は病院に戻ります」
カカシ「そこまで送るよ」