第55章 カカシ相談室
衝撃を隠せずにいると、キリは眉を下げて小さく微笑んだ。
キリ「カカシさん。私は木ノ葉に来てから……この一年の間で四度、襲われています」
カカシ「!」
キリ「一度目と二度目は里内で、一人でいた時に。それが理由で、シカクさんから安全の為に、奈良家に住むようにと言われて、今に至ります」
カカシ(……なるほどね、だからキリはシカクさんの所に)
キリ「三度目は、里内での任務の途中で。……これはカカシさんもご存知ですね。あの日、私は奇襲に加えて、毒殺を図られました」
カカシ「………」
木ノ葉の暗部がキリの暗殺を試みて。更にはフミが暗部に頼まれ、キリの毒殺を図ったあの日。
キリ「……フミさん。あの人も誰かに雇われていたんですよね?」
カカシ「!」
暗部も関わるその内情に、はい、ともいいえ、とも答えられないカカシに、キリは「いいんです」と、首を振った。
キリ「私を狙うのは、私に恨みがある人の個人的な犯行ではなく、組織的なものであるとあの日わかりました」
カカシ「………」
その推測は正しい。
結局、あの日キリを襲った木ノ葉の暗部の出処を、洗い出す事は出来なかった。
それは、相手がもみ消す事が出来るほどの力を、権力を所持している事を意味する。
今もなお、シカクやカカシを中心に捜査を続けているが、なかなか尻尾を掴む事が出来ずにいる。
キリ「あの日、私は本来一人で任務を行うはずでした。そこに、同行した彼……奈良シカマルが巻き込まれました」
カカシ「……キリ」
キリ「四度目は、木ノ葉の修練場で修業を行っていた時。その場に居合わせたアカデミーの子ども達……確か、一人は名をアサヒと言っていたと思います。その子達三人が危険な目にあいました」
キリは俯いて、ぐっとこぶしを握った。
最終的に、あの子供三人に怪我はなかったが、向こうの出方次第では本当にどうなってもおかしくない状況だった。
キリ「……そして、その後。私を助けに来てくれたフミさんは、亡くなりました」