第53章 お見舞い
キリ「顔が赤いわ」
体調でも悪いんじゃないかと聞けば、我に返ったのか、彼女はぶんぶんと首を振り、慌ててそれを否定する。
『だいっだいじょうぶです! そ、その、私っキリさんの検診にっ、き、気分はどうですた!?』
シカ.キリ(……どうですた)
盛大に噛んでいるが、それにも気付いていないぐらい何故か高揚している医療員。
キリ「え? ええ、大丈夫。悪くない」
『そ、そうですか! それは、幸福でございましたっ』
キリ「……?」
『では、私は、そのっ失礼しますねっ』
キリ「あ、待って。問診票……」
持っていってくれと手を伸ばしたが、医療員は光の速さで、キリが制止する隙もなく、病室を出て行ってしまった。
キリ「??」
普段とは異なる態度もそうだが、検診というのもおかしい。検診は少し前に終わっていて、次は夕食後のはずだ。
シカ「なんだ? 今の……」
キリ「あ、彼女は私たちと同じ歳で、今回の私の検査入院の担当者」
シカ「なんつーか、変な女だな。あんなのが担当で大丈夫なのかよ」
とてもキリの検査を任せられるような言動ではなかったがと、シカマルは怪訝な表情になる。
キリ「いえ、いつもはああではないんだけど……」
しっかりした良い子なのだと言えば、シカマルは「ふーん」と、あまり興味がないのか「大丈夫ならそれでいい」と、キリとの会話を再開させる。
シカ「お前、早く帰ってこいよな」
キリ「この五日が終われば戻るわ」
シカ「まぁ、そうだけどよ。キリがいねぇと調子狂うっつーか……寂しいだろうが」
キリ「え……?」