第53章 お見舞い
『実は、今回初めて患者さんを担当をさせてもらうので、凄く緊張してました。歳の近い方でとても嬉しいです』
そう言ってすぐに、担当は初めてだがこれまで研修も行い、精一杯努めるので心配しないでくれと慌てて告げた医療員がどこか可愛らしくて、キリは微笑みを浮かべる。
キリ「私は13歳になるのだけど、あなたは?」
『本当ですか? 私もです!』
パッと顔を輝かせた医療員に、キリも目を細める。
『わあー病院には同じ歳の人がいなくて、凄く嬉しいです。……その、よろしければ仲良くして頂けると嬉しいです』
少し窺うように告げた医療員に、キリは右手を差し出した。
キリ「出来る事もあまりなくて、持て余していたの。話し相手になってもらえたら私も嬉しい。これからよろしく」
『はい! よろしくお願いしますね』
きゅっと握り返された、小さくて可愛らしい彼女の手。
「後で検診に来るのでまたその時に」と言って、一礼をした医療員。
キリはその検診を少し心待ちにしながら、去っていく医療員を見送った。
…………………………
翌日。
キリの病室に、シカマルが見舞いに訪れる。
シカ「よぉ」
キリ「わざわざ来てくれたの?」
今回は負傷や体調不良といったものではないから、見舞いなど良かったのに。と、そう言えば、シカマルはぽりぽりと頬をかいて、いつもの桃色の花を手渡してくれる。
シカ「検査入院っても、一応は入院してんだから見舞いに来てもいいだろ」
シカ(……俺が会いたかったんだっつの)
キリ「そういうもの?」
キリ(………嬉しい)
シカ「そういうもんだ」
そう言えば、ふわりと笑みを浮かべたキリに、シカマルも自然と笑顔がこぼれる。