第53章 お見舞い
第53話 お見舞い
キリが木ノ葉隠れの里に訪れてから、一年が経過した。
そこで、綱手よりキリの身体を調べるために、5日間の検査入院の指示が出た。
何ヶ月か前に、綱手が初めてキリの治療に当たった際。木ノ葉の薬は効果が見られず、チャクラによる治療でしか対応が出来なかった。
その原因は、幼少期からの薬物使用によって、キリの身体に出来た薬に対しての強い耐性だ。
樹の里を出てから、一年が経過した今でも耐性は変わらないのか。今回はそういった検査を徹底的に行うそうだ。
病室のベッドの上で、キリは手持ち無沙汰で窓から外を眺める。
様々な検査を行なっている現在。
勝手な運動は控えるようにと言われている。
身体は至って健康であるのに、修業をする事も出来ず、何とも退屈な事だ。
すると、コンコンとノックの音がして、キリはドアの方へと視線を移した。
キリ「どうぞ」
「失礼します」と、少し控えめな声が聞こえて、一人の医療員が現れる。
どうやら彼女が、今回キリの担当をしてくれるらしい。
『キリさん、具合はどうですか?』
後ろで一つにくくられた、こげ茶色の髪。少しクセのあるふわふわした髪質と、少し高めの女の子らしい声。
にこりと愛想の良いその笑顔に、可愛らしい印象を得る。
キリ「大丈夫です」
『あ、どうぞ私には敬語など使わずに、気軽に話して頂ければ嬉しいです』
ふわりと笑顔を咲かせる彼女に、キリも、ついつられて笑顔がこぼれる。
キリ「ありがとう。私にもそうして欲しい」
『いえ、とんでもないです! キリさんは私の大事な患者さんですから、お気持ちだけ有難く頂きますね』
キリ「私は構わないわ。歳もそんなに変わらないようだし」
そう言えば「自分は仕事中でもあるので先輩方にも怒られてしまいます」と返事がくる。
それならば無理強いするのもよくないだろうと、キリも頷いた。