第51章 心違い
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ーー幼馴染の援護射撃ーー
今より少し前。甘栗甘を出たキリ達は、店の前で解散になった。
「私は行くところがあるから」と、足早に去って行くいのを不思議そうに見送っていれば、大量の甘味達をたいらげたチョウジは満足そうに腹をさすりながら言った。
チョウ「さっきの話」
キリ「え?」
チョウ「いのがシカマルに流れ星を見に行こうって誘ってたら、シカマルは行ったと思うよ」
キリ「……ええ、そうね」
何故だろうか。
そんな事は言われなくとも分かっているのに、すんなりと肯定の言葉が出てこなかったのは。
チョウ「でも、シカマルはいのを誘わなかった」
キリ「……え?」
それは……一体どういう意味なのかと、問おうとした時。
チョウジはにこりと笑って、足を進めた。
チョウ「じゃあ、僕はいのを追いかけるから。キリ、次は焼肉でも行こうよ」
待ってくれと引き止めて、言葉の真意を問いただすことは、やろうと思えば出来ただろう。
キリ「……っ」
ただ、この上がってしまった体温と、赤く染まった頬に、気付いて欲しくなくて。
くるりと、去っていくチョウジに背を向ける以外に、今のキリに出来る事はなかった。