第51章 心違い
思っていたよりもずっと、親密な関係であったらしい二人に、いのの乙女心がふつふつと顔を出す。
いの「いいわねー! 楽しそうなデートじゃない」
キリ「……デート?」
いの「そうよー、シカマルと二人きりでしょ? 男女二人で夜空を見上げる。見上げた空には綺麗な流れ星。きゃーロマンチックじゃなーい! 乙女の憧れデートよ!!」
そう言って、ちらりとキリの反応を伺えば、ぽかんとしていたキリは、声を上げて笑いをもらした。
キリ「まさか、そういうのじゃないわ。確かに二人だったけど」
いの「あら、どうしてよ」
うーんと少し考えるような素振りを見せてから、キリはチョウジといのを見比べる。
キリ「あなた達はデートなの?」
いの「え?」
キリ「今、もし私がここに来ていなかったら、あなた達二人で甘栗甘に来るはずだったでしょう。でも、それはデートにならないんじゃない?」
いの「それは……そうだけど」
キリ「それと同じよ」
ないない、と笑うキリ。いのとチョウジは目を見合わせて、心の中でシカマルに同情する。
いの(やだ……シカマル全然伝わってないじゃない)
チョウ(シカマル……可哀想)
あまりにも伝わっていないシカマルの想い。不憫に思ったいのは、後押しを試みる。
いの「そんなこと言って、シカマルはキリのこと好きかもしれないわよー?」
キリ「え?」
チョウ(おい! いの)
さすがにそれはまずいだろうと、いのを制止しようと机の下で足を小突いてきたチョウジに、いのは倍の力で小突き返す。
いの(ちょっとぐらいいいじゃない。私だって何も本当にシカマルがキリのこと好きだってバラすつもりはないわよ)