第51章 心違い
キリ「たまに散歩に行ったり。あ……流れ星」
いの「流れ星?」
キリ「少し前に、星を見に行ったわ。流れ星がよく見えるからって」
いの「!!!」
キリ「どうしたの」
驚きのあまり立ち上がったいのは、まんまるに目を開いたまま、スススッと再び腰をおろした。
キリ「??」
いの(ちょっと、嘘でしょ)
それはもしかしなくとも、流星群が訪れていたあの頃の話ではないのか。
たしか、シカマルの前でその話をした記憶がある。
サスケを誘って玉砕したサクラといのが「好きな人と流れ星を見るなんて憧れるわね」と、夢見ていたそれを。
興味なさ気に聞いていた、あのシカマルが。
口を開けば、めんどくせーしか言わない、あのシカマルが。
そんなロマンチックな事を、あの、シカマルが。
いの(………)
なんだろうか。頭を鈍器で殴れたかのようなこの衝撃。
幼少期から知るあの無気力男が、どの面下げて女の子に流れ星を見に行こうと、そう言ったのか。
上手く想像出来ないそれに、いのが顔をしかめていると、隣にいるチョウジから肘でつつかれる。
いの(あ……っ)
ハッと我に返ると、不思議そうにこちらを見つめているキリの姿があり、いのはすぐに表情を取り繕った。
キリ「どうかしたの?」
いの「いや、なんでもないわ」
少々、受け入れ難い事実に直面して、戸惑いを隠せなかっただけだ。
いの(何はともあれ、見直したわよシカマル!)