第13章 ハイタッチ
シカマルはいのの身体を抱いて、チョウジの援護に急ぐ。
唸り声を上げている虎のもとへ行くと、そこでは静かな戦いが繰り広げられていた。
チョウ「ぐ……ぅぅ……」
虎の四足を捕らえていた土遁の内、二つが崩れかけていた。暴れる虎を倍化の術で押さえていたチョウジは汗にまみれている。
しかし、暴れ続けていた虎も男の姿を見れば大人しくなる。
いの「チョウジ、お疲れ様」
チョウ「ぜぇっ、はぁっ、うん、そっちも上手くいって良かった」
男に入り込んでいる いのの命令を聞いて、虎は素直に後をついてきた。
いの「あら、偉いのねー。こうして見ると可愛いじゃない」
シカ「よし、術が解ける前にさっさと戻るか」
一団の所へと到着したシカマル達は、虎を檻に入れたところで心転身の術を解いた。
キョロキョロと辺りを見回した男は、座長や一団のメンバーの顔を見るなり不愉快そうに顔を歪める。
座長からは「ありがとうございました。息子とは冷静に、きちんと話し合いたいと思います」と深々と頭を下げられて、今回の任務は無事に達成となった。
サーカスのテントを後にして、ふぅっと、10班の三人は肩の力を抜いた。やはり、アスマ不在は三人に緊張感を与えていたようだ。
そして、さぁ木ノ葉へ帰還しようとシカマル達が歩き出してから少し。
後ろからキンキンと剣が混じる音と、座長と男の怒号が聞こえてきて、シカマルたちは振り返った。
「だからっ、もとは親父が俺がとっといた菓子を勝手に〜〜っ!」
「菓子ぐらいで家出する奴があるかぁ!!それにもともとアレは座長の俺への差し入れで〜〜っ!」
シカ.キリ「…………」
シカマルとキリは、くるりと向きを変えて、木ノ葉へと歩き出す。
いの「ねぇ、あれまた家出しちゃうんじゃない?」
シカ「ほっとけ。構ってられるか、めんどくせぇ」
自分たちの任務は終えた。あとは勝手にやってくれ。