第50章 呼ばない理由
ヒナタ「はぁっはぁっ」
息を切らしながらも、捜索を続けていた時、ザッと姿を現したのは同班であるキバと赤丸だった。
キバ「ヒナタ! やっと見つけた、お前こんなとこで何やってんだよ!!」
「もう出発するぞ」と眉を寄せたキバに、ヒナタは頭を下げる。
ヒナタ「ご、ごめんなさい。わたし、シカマル君に伝えなきゃいけないことが……っ」
キバ「は? シカマルに?」
馴染みのない組み合わせに疑問を抱きながらも、キバはヒクヒクと鼻を動かした。
その後チラリと赤丸を見れば、赤丸もふるふると首を振った。
キバ「この近くにはいねーな。何の用かは知らねぇけど、諦めろ」
ヒナタ「!」
キバ「任務だ、行くぞ」
ガッとキバに首ねっこを掴まれて、半ば強制的に連れられていくヒナタ。
ヒナタ(っ……シカマル君、ごめんなさい…っ!)
ずるずると引きずられるようにして木ノ葉を後にしたヒナタは、何度も何度も。心の中で謝罪を告げるしかなかった。
…………………………
ヨシノ「今日ヒナタちゃんがあんたを訪ねて来てたけど、会えたかい?」
シカ「は? ヒナタが? キリじゃなくて俺を?」
ヨシノ「あんたに用があるみたいだったよ」
シカ「ふーん……? 会ってはねぇな」
今日の修業で、キリは「ヒナタがひと月近く長期任務に出る」と言って、少し寂しそうにしていた。
ヨシノ「随分深刻そうだったけど」
シカ「まぁ、次会った時にでも言ってくんだろ」
気になることは気になるが、いないものは仕方ない。
あくびまじりに、シカマルはぐーっと腕を伸ばした。
そう急がずとも、ひと月のんびり待っていれば、その内容もわかるだろう。