第49章 父親
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少し経って、ヒナタが落ち着いた頃。
ヒアシはキリ達に向かって、スッと頭を下げた。
ヒアシ「みなにも迷惑をかけた」
キリ「いえ、私もその節は申し訳ありませんでした」
そうして眉を下げるキリに、ヒアシが「今日は随分と大人しいのだな」と笑いをもらせば、キリは少し気恥ずかしそうに小さく頭を下げた。
ヒナタ「キリちゃん、ネジ兄さん……本当にありがとうございました」
ネジ「特別何かをしてはおりません。ヒナタ様は気になさらないで下さい」
キリ「ええ、本当に良かった。……でも、ヒナタが居なくなるのは寂しいわ」
「家に来てくれて、共に生活が出来たのは楽しかった」と、キリは少し悲しそうな表情を見せる。
ヒナタ「っ!! キリちゃん……わたしも、凄く楽しかったよ」
きゅっとキリの手を握ってそう言えば、しんみりとした空気が二人を包む。
そんな二人のもとに近付いてきたヒアシは、ポンっとキリの肩に手を置いた。
ヒアシ「キリと言ったな。君には随分と世話になった。そのお返しというわけではないが、日向家に泊まりに来てはどうか」
キリ.ヒナタ「!!!」
ヒアシ「何日でも好きなだけ滞在してくれて構わない」
「良ければこのまま早速家に来るといい」とヒアシが言えば、キリとヒナタは同時にシカクへと視線を向けた。
シカク「!」
きらきらと期待を含んだ二つの視線相手に、シカクの出来る返答は一つしかなかった。
シカク「おう、行ってこい」