第49章 父親
盛大に吹き出して、咳き込んでいるシカマルに、ネジはやや冷ややかな視線を向ける。
ネジ「……行儀の悪い奴だな」
「全く、落ち着いて食べろ」と言って、ネジは手早く床を片していく。
シカ「いや、お前かよ!!?」
キリでも、ヒナタでもなく。この繊細な料理の作り手がネジであった事に驚きを隠せずにいると、ネジから食事中に大きな声を出すなと再び窘められる。
ネジ「だからなんだ。何か文句があるのか」
シカ「いや文句なしにうめぇよ! そういう事じゃねぇ。お前が作ったなんて思わねぇだろうが」
ネジ「そのつもりはなかったが、一晩世話になったからな。これぐらいは当然だろう」
ちらりとシカマルの椀の中を覗いて、まだあるがおかわりは要るのかと聞くネジに、シカマルはそっと椀を手渡した。
シカ「……おう、さんきゅ」
それぞれの性格上、みんなが和気あいあいと話しながらの食事というわけではなかったが。
それでも、互いに悪く思ってはいないのだろう。
淡々としてはいるがテンポの良い会話と、美味い食事。思いのほか、楽しい朝食の時間を過ごす事が出来た。
そして、食事を終えたシカマルはこれからある任務のために、キリの家をお暇する。
シカ「キリ、暇な時はこっちにも顔出しに来いよな。母ちゃん達も寂しがってる」
キリ「ええ、差し入れありがとう」
玄関で見送るキリ、ネジ、ヒナタの三人。
そんな中で、シカマルはガッとネジを捕獲する。
シカ「お前はこっちだ」
ネジ「!? 離せ。俺はヒナタ様を分家にーーっ」
シカ「じゃあまたな」
シカマルはひらひらと手を振ると、ネジの首ねっこをつかまえて、ズルズルと引き摺りながらこの場を後にする。