第49章 父親
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翌朝、シカマルはヨシノから預かった差し入れを手に、キリの家へと訪れる。
シカ「キリ、俺だ。母ちゃんから飯のお裾分けだってよ」
ノックと共にそう言えば、しばらくして扉は開かれた。
キリ「おはよう。……上がっていく?」
シカ「はよ。おう」
思えば、初めて入るキリの部屋。ドキドキと少し胸を高鳴らせながら、シカマルは足を踏み入れる。
シカ(ヒナタもいるんだ、キリと二人っきりってわけじゃねぇ。そんな緊張す………)
シカ「……なんで、お前までここにいるんだよ」
淡い胸の高鳴りは、 目の前にいる人物によって抑えられた。
ヒナタ「あ、シ、シカマルくん。おはよう」
ネジ「なんだ、お前も来たのか」
ヒナタに挨拶を返し、 シカマルはネジにもう一度同じ質問をする。
シカ「なんでネジがここにいるんだよ」
キリ「本当に。あなたは帰りなさい」
ネジ「断る。帰る時はヒナタ様も一緒だ」
キリ「だから、昨日から何度も言うけどヒナタは置いて、あなただけが帰って」
ネジ「断ると言っているだろう」
互いに火花を散らせながら睨み合う二人の間に、ヒナタが仲裁に入る。
そんな光景を見つめながら、シカマルは今の会話内容にぴくりと反応を示した。
シカ(……昨日から?)
今、確かに。キリはそう言わなかったか。
シカ「ネジ……お前昨日からここにいんのかよ?」
ネジ「ああ、そうだが」