第49章 父親
そうしてシカマルと別れて、ヒナタからも事情を聞いたシカクは、何かを考え込むように顎に手を当てる。
ちらりとキリを見れば、眉を下げているキリと、そんなキリを見てそわそわと落ち着かない様子のヒナタ。
シカク「稽古中に乗り込んで行ったってのは頂けねぇな」
キリ「はい、すみませんでした」
ヒナタ「あ、あの、キリちゃんはわたしのためにそうしてくれて……その」
シカク「ああ、そりゃ分かってる」
しかし、厳格なあのヒアシが相手だ。
礼儀を欠いたキリに手厳しい対応をしたのも頷ける。もっと違う方法で訪れていれば、結果はどうあれ話くらいは出来ただろう。
しゅんと眉を下げる二人に、シカクは、にっと口角を上げた。
シカク「俺から謝っておくから、お前たちは気にしなくていい」
キリ.ヒナタ「!!」
シカクの言葉に「自分が謝罪に行く」と言って聞かない二人。
シカクは笑い声を上げてから、ポンっとキリとヒナタの頭に手を置いた。
シカク「こういうのはな、大人がやるもんだ。子供が変な気を遣うんじゃねぇ」
「それに……ヒアシに少し話があるからそのついでだ」と言って笑うシカクを、キリとヒナタは何度も何度も頭を下げながら見送った。
…………………………
そうして現在。
日向家にてヒアシを待つシカクのもとに、一つの足音が近づいてきて、部屋の襖は開かれた。
シカク「よぉ、久しぶりだな」
ヒアシ「………」
シカク「キリが中々大暴れして来たって話を聞いてな。なんでも稽古中に乗り込んだらしいじゃねぇか」
ヒアシ「……ああ」
険しい面持ちでそれを肯定したヒアシに、シカクは深く頭を下げた。
シカク「その件に関しては、本当にすまなかった。キリも反省しちゃいたが、よく言って聞かせておく」