第48章 殴り込み
キリ「それに、今日だって。ヒナタがいなかったら私はあのまま腕を折られていたわ。ヒナタ、あなたが私を守ってくれた」
「ありがとう」と笑顔を見せたキリに……ヒナタの胸がきゅっと痛んだ。
キリ「とにかく、私の家に行きましょう」
「向こうがどう出るかはわからないけれど、しばらくはうちにいればいい」と、キリは告げる。
ごしごしとキリに涙を拭かれて、ようやく涙も治まり、ヒナタはキリと共に立ち上がる。
ヒナタ「でも……本当にいいの?」
急にお世話になってしまってと眉を下げるヒナタに「気にしなくていい」と笑って、キリは家までの道のりを先導する。
キリ「私はみんなに家を離れることを伝えてくる。……ヒナタの事情はシカクさんに話しても構わない?」
ヒナタ「! もちろん、大丈夫だよ」
自分も一緒に説明に行くと言ってくれたヒナタの申し出に、キリは頭を振った。
キリ「ありがとう。でも大丈夫。それよりも、先に部屋に上がって掃除をお願いしてもいい?」
「あまり使っていないから。中のものは勝手に使っていい」と頼めば、ヒナタが頷いて部屋に上がっていくのが見えて、キリもくるりと踵を返す。
キリ(シカクさん達は……)
あのあと修練場に戻ったのか、家に帰ったのか。
キリ(………)
日向家の当主相手に、非常に失礼な言動を行ってしまった自覚はある。
今からシカクにその報告に向かうキリは、どんなお叱りを受けるだろうか。ドキドキと動悸を感じながらシカクを探しに向かった。