第48章 殴り込み
そして、再び。
今度はキリと二人で日向家を出たヒナタは、何故かずっと正座でヒナタの事を慰めてくれているキリを見つめる。
ヒナタが泣いていることで、キリに心配をかけている事もわかっている。
でも、いつまでもそれは止める事が出来なかった。
決して、悲しくて泣いているわけではない。
嬉しくて、自分が情けなくて、キリへ申し訳なさばかりが募る。
ありがとうと礼を言うのは申し訳なくて。ごめんなさいと謝罪をするのも、違う気がしてり言い表せない感情で胸がいっぱいになっていく。
ヒナタ「わ、わたしも……強く、なりたい」
キリ「!」
ヒナタのように付け焼き刃のちっぽけな勇気ではなくて。
勝ち負けの話ではない。どんな時でも折れる事のない強い心が、自分にも欲しかった。
ヒナタ「どうすれば……キリちゃんみたいになれるかな」
自分にそんな事を望むのは、おこがましい話なのかもしれないが。
自分一人でも立ち向かえる強さが欲しいのだと、キリに告げれば、キリは少しぽかんとした表情を見せてから、微笑みを浮かべた。
キリ「ヒナタにはあるわ。その強さ」
ヒナタ「わ、わたしは弱くて、いつも逃げ出して……」
ぶんぶんと首を振って、キリの意見を否定すれば、キリは気付いていないだけだと目を細める。
キリ「アカデミー」
ヒナタ「……?」
キリ「アカデミーを卒業した時。下忍の班を決める際に、みんなが私と組むのは嫌だと批難する中で……ヒナタ。あなたはたった一人で私を庇ってくれた。私と組むと、そう言ってくれたわ」
「あの時の方が、今日道場にいた人たちよりもずっと人数も多かった」と、キリは笑みをこぼした。