第13章 ハイタッチ
成人済みで、平均を超えた屈強な体格の男よりも、大きな体をした虎。
彼が猛獣使いであることは知っているし、見れば表情や雰囲気から二人(匹)がじゃれている事はわかる。
けれど、ゴロゴロと上になり下になりを繰り返す様子は中々に過激で。もし急にこの場面に遭遇すれば、完全に「獣に襲われた死ぬ直前の男」の図だった。
いの「捕まえるっていっても、まずあの虎をどうにかしないと無理ねー」
シカ「俺がはじめに影真似で二人を足止めするから、その間にいのは心転身で男の方を頼む。チョウジは倍化の術で虎を押さえ込んでくれ」
チョウ「でも、それだと二人同時でシカマルかなりきついんじゃない?」
シカ「まぁ、めんどくせーが仕方ねぇ。無理なことはねーはずだ。キリ、お前はチョウジと一緒に虎の方を頼めるか?」
いのの心転身の術が成功すれば、シカマルの影真似も虎一匹に集中出来る。
キリ「………足止めであなたの影真似が厳しい原因は?」
シカ「俺は親父ほどまだ影を操れねー。二人同時となりゃ影の距離、捕縛時間も増えて、チャクラを大幅に消費することになる。残念ながら、俺はチャクラが多い方じゃねーんだよ」
キリ「なら、虎の足止めには私が入る」
いのとシカマルに「あなたたち二人はあそこで待っていて」と、キリは茂みの方に指をさした。
そして残るチョウジに視線を向ける。
キリ「あなたは私についてきて。私が先陣を切る」
一人で突っ込んでどうするつもりだと、シカマルが提案を断る前に、キリは続けた。
キリ「私が土遁の術で虎の足元を固めたら、押さえ込んで欲しい。その後、男との戦いになったら茂み前まで誘導する。そこで二人が男を捕獲してくれればいい」