第48章 殴り込み
…………………………
ヒナタ「っく、っ、うっ」
キリ「………」
ヒナタ「うっ、ずずっ、ひっく」
キリ「ヒ、ヒナタ……そんなに泣かないで」
あのあと、日向家を出た二人は、そこから少し離れた広場の片隅に座り込んでいた。
そして、ずっと涙を流し続けているヒナタの前で、キリは正座でその様子を伺い続けている。
キリ「あ、あの……ヒナタ。刀、ありがとう」
ちゃっかりと、道場を出る前に持って来てくれたキリの刀をヒナタから受け取る。
すると、ヒナタはそれを手渡しながらも、大粒の涙を流す。
キリ「ヒナタ、その……ごめんなさい。勝手な事を……それにヒナタを貰うとか、返さないとか」
「そんなモノみたいに……でも、そんなつもりではなくて……」と謝罪するキリに、ヒナタの涙が勢力を増したのがわかる。
キリ(!!)
ぼたぼたと落ち続けるその涙に、キリは動揺を隠すことが出来ずにいた。
キリ「ヒ、ヒナタ」
どうすればいいのだろうかと、狼狽えていれば、ヒナタからそっとキリのツナギ状の忍服が肩から落とされた。
キリ(……?)
そして、中の服を小さくめくられて、露わになったキリの腹部には、大きな痣が出来ているのが見える。
キリ.ヒナタ「………」
次の瞬間、もう最高潮だと思っていたヒナタの涙が更に勢いを増し、ぶわっと溢れ出す。
顔を覆って泣き始めたヒナタに、キリはおろおろと視線を泳がせる。