第47章 落ちこぼれ
ヒナタ「うん、足は平気……キリちゃんごめんなさい」
キリ「それは何に謝ってるの?」
ヒナタ「え……と、その、シカマルくんたちと居たのに……」
何かする事があったのではないかと、声を落としていくヒナタ。
キリ「ああ、それなら大丈夫。この後も予定はないわ」
今日の分の修業は、次回に死ぬほど努力をして補うので、問題はない。
その言葉を聞いて「良かった」と少し安心した様子のヒナタに、キリは本題に入った。
キリ「私の事は気にしなくていい。それよりも、何があったの?」
ヒナタ「………」
キリ「……言いたくないなら、無理には聞かないわ」
ヒナタ「ううん、そうじゃないよ……キリちゃんに言いたくないとか、そういうのじゃ……」
「ただ自分が嫌になった」と、小さな声で呟いたヒナタは、これまでの出来事を話してくれた。
…………………………
ヒナタから全ての経緯を聞いて、キリは何かを考えながら頷いた。
キリ「そう」
ヒナタ「全部わたしが弱いから……キリちゃんごめんなさい。こんな事言われても良い気しないね」
しゅん……と俯くヒナタに、キリは小さく首を振った。
キリ(良い気は……しないけど)
それは、ヒナタが原因であるわけではない。
良い気がしないその理由は、他にあった。
キリ「気持ちが落ち着くまで、しばらくここにいたらいいわ」
「ここはあまり人も来ないから」と言って、キリは立ち上がる。
ヒナタ「うん。ありが、とう……?」
突然立ち上がったキリを不思議そうに見つめていれば、キリはゆっくりと口を開いた。
キリ「私は用があるから少しここを離れるわ」
終われば戻って来るが、その間にどこか行きたいところがあればヒナタの自由にしてくれと言って、去って行ったキリの後ろ姿を、ヒナタは首を傾げながら見送った。