第47章 落ちこぼれ
キリ「あ、シカクさんに挨拶を……」
シカ「あー、いいいい。俺から伝えとく。どうせ修業も終わってんだ、構いやしねぇだろ」
キリ(……本当はまだ、修業の途中だけど)
シカマルのヒナタへの気遣いに感謝しつつ、この場から少し遠くにいるシカクへ頭を下げれば、シカクからは「気にするな」と右手を上げられる。
キリ(……)
この距離から、一人で戻るシカマルを見て、全て察してくれたシカクに小さな感動を覚えながら、キリは再びヒナタに向き直る。
キリ「そこに座って」
ヒナタが言われるままに指差された木陰に座れば、ひょいっとキリに足をとられる。
ヒナタ「!」
手際良く怪我をした足に包帯を巻いていくキリに、慌てて制止しようとしたが。
「すぐに終わるからジッとしていて」と、にこりと微笑んだその笑顔に魅せられて、ヒナタは大人しくそれに従った。
あっという間に手当てが終わり、手を取って立たせてくれたキリに、申し訳なさが募る。
ヒナタ「キリちゃん、ごめんなさい……ありがとう」
キリ「いえ。少し場所を変えて話しましょう」
「乗って」と背中を見せられて、ヒナタはそこまでしてもらうわけにはいかないと、ぶんぶんと首を振る。
ヒナタ「こ、このままで大丈夫」
今度は気をつけて歩くから平気だと言えば、キリは少々不満そうな表情を浮かべながらも了承してくれた。
少し歩いて、人通りも落ち着いた頃。
二人は、小さな横長の椅子に腰を掛ける。
キリ「足、痛くない?」
キリは、慎重に日向の様子を窺った。
ヒナタと会う少し前。
キリの修業がひと段落ついて、シカクとシカマルと休憩がてら軽食を食べに来ていたら、ヒナタの姿を見かけた。
どうにも普段とは様子が異なるヒナタの姿に、気になって後を追えば、真っ青なヒナタの顔。
そして、ヒナタの辿って来た道のりには点々と血の跡が残されているのが見えた時には、思わず目を見張った。