第47章 落ちこぼれ
そんなヒナタの異変に気が付いた使用人が、眉を寄せて声をかけてくる。
『ヒナタ様? ご気分が優れないのですか?』
ヒナタ(!! だめ、こんな所で……!)
嘔吐してしまったら、また迷惑がられてしまうのが容易に想像出来て、ヒナタは駆け出した。
『ヒナタ様!?』
後ろから聞こえてきた声に、返事をする余裕も、今は持っていなくて。
そのまま周囲の視線、そして〈日向〉から、逃げるように家を飛び出して、現在に至る。
ーー自惚れていた。
出来ると、頑張れば認めて貰えると。そんな浅はかな考えが頭にあった。
キリのそばにいて、ナルトを見ていて、自分も変われると思っていた。
ヒナタ「わたしなんかが……二人と……」
同じはずが無かったのに。
キリ「ヒナタ!」
突然つかまれた腕に、ヒナタはびくりと体を竦ませる。
ヒナタ「キリ、ちゃ……どうして」
キリ「走って行くのが見えたから」
ヒナタ「あ、そ、っか」
キリ「ヒナタ、大丈夫? どうしたの」
キリの瞳に映る自分の姿。そしてキリの優しい言葉と声に、じわりとヒナタの視界が滲む。
ヒナタ「キリちゃん……っ」
ぎゅっとキリの手を握った時、後ろにシカマルの姿が見えた。
シカ「お前なぁ、急に走っていくんじゃねぇよ」
「びっくりするだろうが」と呆れた声をもらすシカマルに、今の自分の顔を見られたくなくて、ヒナタはバッと視線を逸らした。
ヒナタ「!」
すると、くるりと身を翻したキリは、背にヒナタを隠すようにして、シカマルに向き直る。
キリ「ごめんなさい。驚かせたわ」
キリはじっとシカマルを見て、自分はこのままヒナタと行動をすると告げた。
その視線を受けて、シカマルがちらりと目を向ければ、キリの後ろで縮こまっているヒナタの姿があり、なんとなく状況を理解する。
シカ「おー、じゃあ俺は戻って昼寝でもすっか」